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 国の外れの小さな宿屋
二一五号室
騎左は窓辺の椅子に腰 
掛けて刀を磨いていた
決して高価ではない
むしろどこにで 
も売
ている安物の刀
幼い頃に養父から貰
た物だ
特別愛 
着がある訳ではない
ただ手元にあるから使
ているだけ
業 
物があれば
と思
たことくらいあるが
そんなものを買う金 
は持
ていない
第一こんな刀だ
てまだ使える
いいものな 
んか使わなくても
切れ味というのは手入れと使う者の実力に 
よる
それが騎左の信条だ
              
 ふと手を止めて
顔を上げた
              
                             

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 夏休みが明けてから二週間経
て             
                             
 一カ月前よりも少し
本当に少しだけ
日差しが弱くな
て 
きている気がする
とは言え
暑いことに変わりはない
太陽 
の直射日光に加えて校舎の壁や足元のアスフ
ルトからの反射 
光も浴び
高坂龍夜はうめいていた
            
暑い
マジ暑い
               
 農家のおばさんよろしく
というのは偏見だろうか
頭から 
タオルを被
ていても
熱は布地を突き抜けて刺さ
てくる
 
タオルで隠しきれていない首筋では
メラニン色素が活発に活 

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 西暦二〇〇六年地球
                  
 地球と言
ても
ちき
と読んではいけない
地球は
 
ちたま
と呼ばれる星で
地球が浮いている銀河系の双子銀 
河にある双子星である
                  
                             
 大日本帝國の首都
東京で一人暮らしをしている青年新橋悠 
希は
最近増えつつあり
社会問題にもな
ているニ
トの 
一人
                          
 そんな悠希と共に生活をしている者が居た
        
                             

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 頭上から
名を呼ぶ声が聞こえた
幼い子どもが笑うような 
楽しげな声音は
何か悪戯でも企んでいるものに思えて
 
ツは必死に重たい瞼を開けると
のろのろと体を起こす
ここ 
はどこだろう
 回らない頭で彼は考える
         
 いつの間にか眠
ていたらしい
痛む肩をほぐしながら右へ 
視線をやると
窓の外では見せかけの太陽が輝いていた
思わ 
ず目を細めた彼は
額に皺を寄せつつ乾いたつばを飲み込む
 
たりと流れる雲の横では
まやかしの鳥が羽を広げていた
 まさかもう昼時なのか
 あくびをかみ殺すと
彼は強ば
 
た首を巡らして周囲を確認する
だが辺りには誰もいなか
た 

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 うまく隠れていたつもりでいたが
ひとの口から出てきて驚 
かされる
                        
墓場に死霊が出るなんて話
冗談でも聞きたくなか
たわ
 
 ため息交じりのその声の続きは
コイトが井戸から引き上げ 
た桶の水音でかき消えた
ざばりと汲んだ水の飛沫はとても冷 
たか
                        
 くわしく聞きたくてたまらなか
たのだが
コイトはそそく 
さとその場をあとにする
仕事の手を休めて雑談に興じるおか 

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×
 
夕涼み
            
                             
 持つべき荷物のなくな
た両手をポケ
トにつ
こんで
な 
んとなく空を見上げる
                  
 広がる夏の空はほんのわずか
紅く染まり始めている
   
                             
 遠くで
雷鳴が聞こえたような気がした
         
                             
       
                     
                             

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