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 プロ
トを元に
私は本文を書き始めた
         
 せき止められていた川が流れる路を取り戻したように筆は進 
んだ
ときおり耳の奥に
デビ
してるんだ
小説
が 
んば
てくださいね
と二つの声が響く
          
 食べていけるだけの原稿料をもら
たこともない
でも私は 
式根先生の言葉にうなずいた
あの瞬間
私は作家として生ま 
れたのかもしれない
こしらえたときではなく
他者に渡した 
とき
名刺は意味を持つ
                 
 自分はこういうものです
と声に出して認めた行動が
自分 
を高揚させている
                    

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R18
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章より
                       
                             
 それは唐突な
命令
              
 俺を見て
祖父が短く
                 
文寛
                         
 お前
結婚しろ
                    
 そう言
                      
 事情も相手も知らない上に
まだ俺は十六だ
       
 結果
俺の口から出たのは
頓狂な疑問符だ
   
                             

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 この夏
初めての子供を産んだ
お産は重か
たが
そのあ 
たりはあまり他人に話すようなものではないだろう
     
 そんなことより
妊娠中にいろいろと好みが変わ
たのには 
という話をすると
大抵
レモンですか
と聞かれる
みんなそんなにレモンが好きだ
たのか
と面食ら
てしまう 
くらいだ
かくなので答えると
レモンに対する欲求は
 
前とは特に変わらなか
鶏の唐揚げにはレモンを絞りたい 
よね
という程度のものだ
                
 むしろ
唐揚げのような脂
こいものが食べたくて仕方のな 
い時期があ
たくらいだ
休職に入る産前十週までは
普通に 

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 夜明け前の街並みの空気はいつも
薄いヴ
ルにくるまれ 
たようにたおやかで
どこか心もとない
          
 いつも一人で
夜と朝のあいだを包む暗闇のその隙間にす
 
とナイフを滑らせて切れ目を入れていくようなそんな心地で歩 
いたこの道を二人で歩くようにな
てから
もう二つ目の季節 
が巡ろうとしている
                   
今日はこの後
お時間は
               
 半歩その先から
如何にも仕立ての良さそうな革靴のソ
ル 
の刻む小気味良い音色を響かせたまま
音色の主はそ
とそう 
問いかけてくれる
                    

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歳から
年付き合
た彼女は
結婚するのと卑屈な笑み 
を浮かべ去
て行
その予感はあ
たけれど
結 
局なにもしなか
男と二股かけられるなんて
道化もいい 
ところだ
                        
 悲しくはなか
むなしいだけだ
           
由香里
ゆかり
さんフリ
なの
 前から狙
て 
たんです
付き合
て下さい
              

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