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 国の外れの小さな宿屋
二一五号室
騎左は窓辺の椅子に腰 
掛けて刀を磨いていた
決して高価ではない
むしろどこにで 
も売
ている安物の刀
幼い頃に養父から貰
た物だ
特別愛 
着がある訳ではない
ただ手元にあるから使
ているだけ
業 
物があれば
と思
たことくらいあるが
そんなものを買う金 
は持
ていない
第一こんな刀だ
てまだ使える
いいものな 
んか使わなくても
切れ味というのは手入れと使う者の実力に 
よる
それが騎左の信条だ
              
 ふと手を止めて
顔を上げた
              
                             

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 第一幕 居候猫の現状                  
                             
                             
マオ
はやくしろ
                 
 隆二は
玄関で靴を履くと
部屋の中に呼びかけた
    
                       
 ぱたぱたと軽い足音をたてて出てきたマオは
ピンクと白の 
ト二着を持
ていた
               
ちだと思う
                
                             

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たずね狛犬の夏
水城麻衣                
                             
 哲史
さとし
の今の住まいは
海から離れた内陸のほう
 
台地にな
ていて冬の寒さが厳しいところだ
大学を卒業して 
就職した食品メ
から勤務地として告げられ
この土地に 
移り住んで二年になる
                  
 冬は寒いが
その代わり夏は涼しく
避暑地にな
ているく 
らいだ
あのむ
と全身を掴まれるような熱気とも
暑苦 
しく寝付けない夜とも無縁だし
ましてや台風なんて全くとい 
ていいほど来ない
                   

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 序章 主よ
この魂に憐れみを              
 深い霧の中を一艘の小船が行く
櫂の音だけが響いている
 
 船の上にいるのは一人の痩せた男である
焼けた素肌の上に 
胴丸を付け
髪の毛を結いもせずにばらりと垂らし
額に薄汚 
れた布を巻いて右眼まで覆
ている
左眼は黄色く濁
て深く 
落ちくぼみ
こけた頬には無精髭を生やしている
      
 男は櫂を漕ぐ手を止めて
と霧の向こうを見た
息を止 
めて耳を澄ますと
わずかだが子供の声が聞こえた
微かな吐 
息で歌
ている
                     
                             

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 北海道妖怪奇譚                     
 後輩書記とセンパイ会計
北方の小人に挑む        
                             
                             
                             
 開架中学一年
生徒会所属
有能なる書記のふみち
んは
 
時代が違えばアイヌ語の研究に生涯を捧げた民俗学者
金田一 
京助
きんだいちき
うすけ
とともにアイヌ文化の調査に励 
んでいただろう
ふみち
んは小学生時代
お父さんが集めて 
いた日本各地の民族楽器を六年間でだいたい演奏できたほどの 

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 あんたは同類だよ
                   
 なんだ
て墨を入れち
いないんだい
          
 あんたは墨を入れるように
生まれついているのに
    
 あんたのいい人が見つか
たら
安く彫
てやるよ
    
 いい肌をしているもの
                 
 きめの細かいね
反物みたいな肌だ
           
 おお
なじ
てくれるか
                
 も
となじ
てくれ
                  
 も
となじ
ておくれ
                 
                             

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