» ランダムに再読み込み
立ち読みテキストの冒頭の10行を表示しています。

» 詳細ページを見る

 つけられている
                    
 僕は喘ぐように息をつき
そして後ろを振り返る
背後一五 
トル程の距離を保ち
電信柱の陰から
その黒目がちの
 
針と糸で縫い留められたまあるいボタンのような瞳で
奴は間 
違いなくこちらを見つめている
じとりとした粘性の眼差しに
僕は背筋に冷たいものの這い寄るのを覚える
何も見なか
た 
かの如く
素早くぱ
と前を向き直り
僕はほとんど競歩の勢 
いで家路を急ぐ
                     
 何だ
あれは
一体何なのだ
あれは
          
                             

» 次の本を見る

» 詳細ページを見る

 § 序章                        
                             
                             
 一
 対峙する者                    
                             
 大樹は千年近くにわた
て地に根を下ろし
世界の有り様を 
見続けてきた
ごつごつとした枝
には常に緑の葉が茂
てい 
そして周囲の木
を暗がりに隠すのだ
         
 畏怖
                         
                             

» 次の本を見る

» 詳細ページを見る

                        
                             
こら
食べてすぐ寝ころばないの
          
 ママは言いました
                   
くん
豚にな
うわよ
            
豚になんかならないよ
それにそれ
みんな牛だ
て言 
てたよ
ママおかしいんだ
             
うちでは豚なの
ほら
起きなさい
         
ぶたにな
たらねてくらすからいいよ
        
                             

» 次の本を見る

» 詳細ページを見る

                             
優子
 今日
                
 それは
自分に不幸な事があると連絡をしてくるユリからの 
電話だ
便りがないのは元気な証拠
と言うものだが
彼 
女に関してはそれが見事に当てはま
てしまう
と普段か 
ら色
楽しい事もメ
ルしてくれればよいのに
何故か彼 
女から来るメ
ルや電話は
不幸の色に満ち満ちているものば 
かりだ
                         
暇だけど
                    
                             

» 次の本を見る

» 詳細ページを見る

 お馴染みのあの音だ
床一枚隔てても
私の身体の中心を正 
確に突き通してくる
あの重低音
奥までずうんと貫かれて
 
溶けてしま
た自分が子宮からじんわりと
流れ出る気がした
懐かしさと
いやらしい連想
               
                             
 このハコに来るのは半年ぶりだろうか
          
                             
 今私達は
新宿の小さなライヴハウスのすぐ上の階にあるフ 
ミレスで
開演までの時間潰しをしているところだ
リ 
ハの音が階下から轟く
雑居ビルの雑な設計
インデ
ズロ 

» 次の本を見る

» 詳細ページを見る

 世界樹の街
十二番街
黄昏通り
三番地
        
 大樹に寄りかかるようにしてどうにか建
ている小さな店を 
前にして
オルトは困惑の表情を浮かべていた
       
ン骨董店
本当にここであ
てるのか
    
 す
かり苔むして木と同化しつつある三角屋根
と 
突き出た煙突には鳥の巣がかか
ており
長いこと使われてい 
ないのは明白だ
軒先には古びた看板がぶら下が
ているが
 
年季が入り過ぎて店名が消えかか
ている
そして極めつけは 
準備中
の札が打ちつけられた木の扉
蝶番が壊れているら 
しく
開くかどうかすら怪しい
              

» 次の本を見る