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(
本文前エピグラフ)
僕が言
っ
ているのは、
ネガテ
ィ
ヴ・
ケイパビリティ
(
受容する負の能力)
というも のだ
。
先の読めない状況や
、
理解を超えた神秘や、
疑念の中に人があるとき
、
事実だの
、
理屈だのを求めて苛立つことなく、
ふ
ぁ
ー
すといんぷれっ
しょ
ん 「
あー
、
今日もいっ
ぱい働いたわー
」
「
おつかれさまー
。
イチさん、
今日もつやつやでおきれいです わよ
」
「
あー
ら、
ニコちゃ
んだっ
てきれいじゃ
ないー
」
「
やだー
。
そんなほめないでくださいよー
」
「
…
…
女っ
てやつは、
なんであんなにやかましいんだ」
小松駅近くの事務所でイチとニコと呼ばれるキハ娘たちがき
ゃ
いきゃ
いおしゃ
べりをしているのを、
男たちは苦々
しく眺め 「
…
…
ぶら…
…
うん、
というのが、
伝蔵の奉公している店の主 の名か
」
「
そうでさ。
三年前の冬、
居留地の近くで野垂れ死にしかけて たところを
、
親切にも拾っ
て、
介抱していただきやしたからね。
夷人を毛嫌いしてなさる皆さん方には文句もありやし
ょ
うが、
たとえ夷人が相手でも
、
受けた恩義を返さねえ奴は、
犬畜生に も劣りやすよ
」
私は
、
複雑な気分を覚えた。
確かに、
受けた恩義を返す為に 力を尽くして奉公しているとあらば
、
褒められて然るべき心懸 けだ
。
しかし、
その夷人の方は、
何かしら目当てがあっ
て、
打 (
※当作品はW
E
B
掲載作品に一部修正を加え、
書下ろしと共 に収録したものです
。
以下サンプルはW
E
B
掲載文と同様で、
続きは
U
R
L
からお読みいただけます)
その丘からは
、
大樹君国の首都・
ロバストルー
ツが一望でき る
。
季節は春
―
―
大樹君国の暦でいう《
芽吹ヶ
刻》
の二か月目を 迎えていた
。
その名の通り、
広大な国土を誇る大樹君国のあち つけられている
。
僕は喘ぐように息をつき
、
そして後ろを振り返る。
背後一五 メ
ー
トル程の距離を保ち、
電信柱の陰から、
その黒目がちの、
針と糸で縫い留められたまあるいボタンのような瞳で
、
奴は間 違いなくこちらを見つめている
。
じとりとした粘性の眼差しに、
僕は背筋に冷たいものの這い寄るのを覚える
。
何も見なかっ
た かの如く
、
素早くぱっ
と前を向き直り、
僕はほとんど競歩の勢 いで家路を急ぐ
。
何だ
、
あれは。
一体何なのだ、
あれは。
序の章 六道珍皇寺
(
りくどうちんのうじ)
―
―
地獄の 入口
おにいち
ゃ
ん…
…
おにいちゃ
ん…
…
暗いよ…
…
暗いよ…
…
おにいち
ゃ
ん…
…
おにいちゃ
ん…
…
早く来て…
…
早く…
…
…