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精霊
                        
 それは
この世を支えるために最も重要な六大元素
火水風 
地空樹を管理し
操る者の総称である
           
 つまりは自然の守護者たち
彼らが死滅することは人間の滅 
亡を意味する
だが
その存在を認識しない人間たちによ
彼らは住処を追われてしま
              
 そのうえ
荒廃が進む人間の心を狙い
多くの魔族が跋扈
 
するようになり
精霊自身も脅かされるようにな
永きを生きる彼ら精霊だが
それは単に寿命が無いというだけ 
死の概念が無いわけではない
             

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よう
                    
 鉄格子の向こうから
返答はない
声はさらに続けた
   
世間話でもしようぜ
                  
                         
つれないな
べつに何か聞き出そう
てんじ
ないさ
聞い 
相槌だけ打
てくれり
               
好きにしたら
                   
うん
そうする
                    
 言
て隻眼の軍人は
房内の側壁と続く石壁に背を預けて壁 
に向き合
右足を曲げ
左足を伸ばす
とい
てもい 

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 真夏の日差しが照りつけるある休日
幼なじみの悠希を俺の 
部屋に招いて
ふたりで読書をしていた
          
 玄関はドアロ
クを掛けたまま隙間を空け
窓は網戸を閉め 
て開けてある
風が吹くと
窓際に掛けてある細長い貝を連 
ねて出来た鈴が涼しげな音を立てる
            
 悠希と俺とで座り込んで
背中合わせにな
お互いの 
背中にもたれて本のペ
ジを捲る
それぞれ小さいお盆の上に 
硝子の蓋碗を置いて
半分凍らせた大きなペ
トボトルから
気が向いた時に真
青な冷たいお茶を注いで飲んでいる
   
                             

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 俺がこの会社に就職して二
月ほど
社員研修も終わり
最 
近は新入社員の俺でも
いや
だからなのかはわからないが 
毎日残業している
                    
 今日も渡された仕事が片づかず
残業になりそうだ
    
 時計が就業時間を指す
                 
 今日の夕食はどうしようかと思いながら仕事を続けていると
横から声を掛けられた
                  
上杉さん
お疲れ様です
余り根を詰めないでね
     
ああ
いつもありがとう
              
                             

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 猫の体には真鍮製の星が詰ま
ている
これは天文学ではよ 
く知られた話である
                   
                             
 昼
猫の瞳は
七色の陽光を撚り上げた縫い糸で細く閉じて 
あるため
星はめ
たに零れでない
だが
夜空を染め上げる 
のにも飽きた漆黒の染料どもが
猫の瞳に滴り
三日月から満 
月への変遷のごとくその黒目を球形に広げるとき
星はたまら 
ず零れだす
                       
                             

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 朝からみぞれ混じりの雨が降
ていた
ぬかるんだ道には
 
下駄の歯の跡がいくつも残
ていて
抉れて盛り上が
た部分 
には霜が降りていた
夜にな
たらこの形のまま凍るだろう
 
                             
 長崎へや
てきてから
こんなに寒い冬を経験するのは初め 
てだ
十手を持つ手さえかじかんで
刀を抜けるかどうか 
も不安にな
孫四郎は何度も柄や鍔に手を添えては確認し
そしてすぐに羽織に手を引
込めた
てきた目明かしは孫 
四郎の背後で
蓑にくるま
て文句ばかり言
ている
しかし
孫四郎はお構いなしに
呼子を吹いた
           

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