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 零                           
                             
                         
 突然の突風に煽
あお
られ
咄嗟に目を閉じた
     
 次に目を開いたとき視界に移
たのは
青な空を背景に 
舞う
赤い
一際赤い
一片
            
 季節は霜月
がさがさと空気は乾燥し
吹く風がいちいち辻 
斬りのように感じられる寒い日
              
 葉をす
かり落とした侘しい風情の木や砂
ぽい景色の中で
花弁のようにも見えるそれは私の爪先に塗られていたエナメル 

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 夢を見たのだ
と思う
                 
 今までだ
てよくあ
た事だ
と思う
          
 
それなのに
                    
 何故
こんなに胸騒ぎがするのだろう
          
 何故
こんな場所に居るのだろう
            
                             
 でも
                         
 そんな事は
今更考えてもどうしようもない
       
                             
                             

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 秋は最終盤を迎え
一年の最後の月も半ばを過ぎていた
  
 現在ミデ
アミルドに残る三国の中で最も南に位置するマ
 
ナの都デラビダに於いても
日が落ちてからの冷え込みは急速 
に厳しくな
ている
王城内の各府で仕事に励んでいる官吏達 
薄暮の頃になると
少しでも暖かさの残る間に帰宅
或い 
は体を温めてくれる市中の飲食店等へ向かおうと
城外へ続く 
道を急ぐ
                        
 そんな中で
早くも鍔付きの防寒帽まで被
て薄手ながらも 
防寒着を身に纏
た武官がひとり
ややゆ
くりとした足取り 
王城の敷地内に建つ各府を外で繋ぐ道に敷かれた石畳の端 

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 夏の大井川での出来事である
橋の上を一台の牛車がゆ
く 
りと進んでいた
それを下賎の者たちが
橋のたもとに群が
 
て好奇の目で見送
ている
                
 何故なら車の物見の窓から
一人の姫君が顔を出していたか 
らである
李のようなうぶ毛が頬に生えた
まだあどけない年 
頃の姫君である
高貴の人であればまず滅多なことでは人前に 
顔を曝さない時代のことであるから
当然
供回りの者たちも 
その様子に眉をひそめている
しかし姫君のほうにはそれを気 
に止める様子もない
                   
                             

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プロロ
                      
                             
全員後退しろ
 いいから今は戻れ
 一人で一泡吹かそう 
なんて
馬鹿な考えはするなよ
             
 薄暗い中
剣を握りしめている男性の怒鳴り声が
辺りに響 
きわたる
周囲にいた人間たちは彼の声に従
歯をぎり
 
と噛みしめながら下が
                
 部隊の後方にいた眼鏡をかけた青年は
すらと見える漆 
黒の巨体を
目を細めて凝視した
             
                             

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トラウメインデ
斜線堂 侑李         
                             
 松
谷くんが自称天才カメラマンの間宮恭司と出会
たのは 
丁度松
谷くんがス
のカニカマを見ながら吐き気を必死 
で堪えている時の話であ
               
 松
谷くんはかれこれ物心ついた時から呪われている
その 
呪いというのはバブル崩壊の時から日本に長い間巣食
ている 
呪いの一つであ
別に松
谷くんのようなケ
スはそこま 
で珍しいお話ではないのだけれど
彼の
というより彼の家に 
かけられた呪いは凡庸ながら中
にその度合いが強烈だ
 

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